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保険危機の原因について、消費者団体は保険会社の引受政策の誤りによるもので、損失回復のため、共同行為による保険引受拒否および保険料の急激かつ大幅な引上げによるものであるとしている。 一方、政府は「不法行為政策作業部会」の一連の報告書において、原因は企業責任の急激な厳格化や損害賠償金の高騰など不法行為責任の急激な変化によるものとしている。
原因は双方の主張の諸要因の複合したものである。 保険危機の原因は損害保険業界の内部と外部にも大別できる。
内部要因は損害保険業の体質、を中止し、そのため廃業に追い込まれたりした。 また公共施設は賠償事故発生をおそれ、当局によって閉鎖され、公共サービスは低下した。
また保険の引受を拒否された医師は医療事故の際の高額な賠償をおそれ診療を拒否した。 保険会社の、このような行為は賠償責任保険を不可欠とする米国全土を混乱に陥れ、いわゆる保険危機は発生した。
また、この危機は賠償責任保険危機とも呼ばれている。 保険危機は賠償責任保険の入手可能性および保険料負担可能性に困難を生じたために発生した社会的な混乱を指している。
雑誌『タイムス』は八六年三月二四日「アメリカの皆さん、あなたの保険はキャンセルされました」という文章がカバー・ストーリーにまでなり、危機的な事態に発展した。 過度な料率競争および投資収益依存のキャシュ・フロー・アンダーライティングの破綻である。
キャシュ・フロー・アンダーライティングは保険会社の保険料を運用して得られる収益(運用収益)を保険料率に組み込んで、保険営業収支をバランスさせようとする引受方法である。 R政権の高金利政策の時期には、一時はプライムレートは二○パーセントを超え、一方賠償責任保険は保険料収入から保険金支払いまで長期におよぶことから、運用益を織り込んで料率を引下げ、料率競争を有利に展開し、契約の拡大を図った。

まもなく、高金利時代は終罵し、運用益は減少し、料率の過度な引下げによって保険料は減少した。 しかし保険金は後追いで支出され、保険金支払いファンドは枯渇した。
これに対し保険会社は短期間に収支の回復を図ろうと保険契約の拒否、保険料の大幅な引上げなどの一連の急激な措置をとった。 これらの措置が保険危機の引き金となった。
外部要因の第一は権利意識の強い社会的な背景であり、第二は不法行為に関する無過失責任主義・陪審員制度・弁護士制度などの法的な背景にあるといわれている。 外部要因については論議は現在も進行中である。
保険危機の内部・外部要因を対比すると外部要因は当時と今日も大きな変化はないことから、原因は内部要因の保険会社の経営政策の誤り、特に高金利依存の引受政策の破綻にあったといえるのではないか。 保険危機の後、保険料率の大幅な引上げによって、八七年から保険収益は回復し、保険危機は終篇した。
しかし、保険料率水準は大幅に上昇したまま高い水準にとどまり、保険の入手可能性は緩和されているものの、多くの企業および自治体は高額な保険料支払いや将来の保険入手難に備え、キャプティブ・インシュアランスを設立している。 損害保険業界は企業・団体・自治体の大きな市場を失った。
一方、保険会社自体は保険危機にもかかわらず、少なくとも大手会社は経営不振に陥るところはなかった。 保険危機の後、外部要因については不法行為制度改革の動きがあり、内部要因については、保険制度に内在する問題を改革しようとする動き、つまり料率規制制度の改革および保険業界の連邦反トラスト法適用除外に対する見直しなどである。
保険危機の原因は、競争料率制度における過度の料率引下げとその反動として急激な料率の引上げにあるとして、競争料率制度において、変動の幅を規制しようとする料率規制の強化の一九八八年、一九の州の司法長官は保険危機の原因は保険会社の共同行為にあるとして米国大手保険会社、外国再保険会社、ISOを相手として反トラスト訴訟を提起した。 これを契機に連邦議会においてマッカラン法の改正論議が高まった。
これに対し、共同行為の制約によって、各社独力で個別に保険料率を算出することになると中小保険会社はコスト増を招き、新規参入を阻害し、あるいは不適切な料率設定など、結果的に競争を阻害し、また保険会社の倒産を増加するとして反対する動きもある。 マッカラン法の改廃についての保険業界と消費者団体の主張は対立している。

連邦政府の規制か否かは保険業界は保険商品および保険料率はすでに州政府の規制を受けており、連邦政府の規制は不要と主張し、消費者団体は州政府の規制は州別に異なるので連邦政府による統一的な規制の必要性を主張している。 また競争については保険業界は保険料引下げ競争は激しすぎるくらいと主張しているのに対し、消費者団体はマッカラン法によって適正な競争は行っていないと反論している。
消費者団体は保険危機は保険会社の保険料引上げ、および引受拒否を目的とした共同行為にあるとして、これを可能にしたのはマッカラン法による連邦反トラスト法の適用除外にあるとして、同法の改廃を求めている。 これらの動きは、州政府による保険規制を縮小し、連邦政府によって保険会社のソルベンシー規制を強化し、保険会社の経営破綻を防止しようとするものである。
八八年二月、カリフォルニア州において保険改革に関する「提案一○三号」は住民投票の結果可決された。 本提案は消費者団体の中心的存在であるラルフ・ネーダーによって自動車保険の保険料の急騰に反発して起草されたものである。
本提案の主な内容は左記のとおり。 保険料率の引下げ料率規制を原則届出不要制から事前認可制への変更自動車保険の料率決定を地域別料率から運転者の事故歴、運転経験年数等々の要素不公正取引慣行の禁止銀行の保険代理業(保険販売)の認可本提案の背景は、保険危機に際し、保険会社は保険金の支払い急増を理由に、保険契約の引受を拒否し、契約を一方的に解約し、あるいは保険料を大幅に引き上げたことにある。
保険会社は保険料の急騰は訴訟および裁判所の認める賠償額の急騰にあるとし、これに対し消費者側は保険料急騰の原因は経営の失敗にあるとし、また州保険庁は保険会社の監督を十分に行っていないと保険行政に対する不満、さらに保険料の急騰を解消する有効な対応を行っていない州議会に対する不満等々の要因から本提案となった。 八九年三月、ISOは主要業務の一つである保険会社への付加保険料を含めた営業保険料勧告料率の提供を九○年以降段階的に取り止め、純保険料率のみを提供すると発表した。
会員保険会社は純保険料の提供を受け、事業費および利益相当分の付加保険料は各社独自に算出し、自社の営業保険料を決定する方式に変更された。 米国には三千数百社の損害保険会社が存在し、そのなかで自社でデータを保有し独自に料率を算出し、保険庁へ料率を届け出ることの可能な会社は限られている。
中小会社はアクチュアリーの採用、計算の外部委託を必要とし、コストの増加は必至である。 また州保険庁は届出件数の増加に対し、スタッフの増加を必要とし、損害保険業界全体ではコストの増加、ひいては保険料率の引上げにもなるとも懸念されている。

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